- 作者: 島田雅彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: 単行本
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島田雅彦氏の新刊。ワタクシあまり公言しておりませんが、島田氏の小説はほぼすべて読破しております。まさしくタッチ&バイ&リード&感涙でございます。今回は著者としては珍しく女性が主人公、語り手はまた不思議にいろいろ変化していっておりますね。毎回ですが、感想トップリスト。(1)島田氏の著作にしては珍しくラストの高揚感があります。(2)おそらく男性諸君は皆そうでしょうが、理想像としては姉ですな。(3)当然ではありますが、生きることを語ることは死ぬことを語ることなんですね(4)戦争に関する本ってなかなか触手が伸びませんが、生きることについてがテーマなので、どんどん読み進められます。(5)この重いテーマを軽やかな文体で書き進められるのは島田氏の本領発揮といったところか。(6)祥子の秋田弁がサイコー。(7)いつも島田氏の小説を読むと忘れてはいけない何かを思い出させてくれるのですが、今回も読んで思いました。言葉にするのは難しいけど、それは心の中の軽やかさかな。
以下あらすじ(かなり大雑把ですが)
戦時下の東京。美しい女学生の姉妹・有希子と久美子は、亡き母の思い出に満ちた目黒の家をけなげに守っていた。有希子に思いを寄せる後藤少尉も出征していく。敗戦――男の戦いが終わり、女の戦いが始まった。自分の戦後を生きるため、久美子は処女を米兵に投げ出し、目黒の家は娼館に。有希子を訪ねあてた後藤は、米兵が出入りするさまに踵を返す。果たして有希子の恋は? そして久美子は……?過酷な運命に逆らい、恋を貫く乙女たちを描いた著者会心の大型ロマン。