●「きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)」/宮藤官九郎
(1)大槻ケンヂの小説「グミ・チョコレート・パイン」とみうらじゅんのマンガ「アイデン&ティティ」を足して、クドカン風味を足したような小説。
(2)著者の高校時代の現実2割+妄想8割というブレンド具合は「グミチョコ」と同じだし、白鳥おじさんは「アイデン&ティティ」のディランと同じ役割。
(3)クドカンとは同じ年なので、高校入学式と同時に岡田由紀子が自殺。ブルーハーツ、ボウイの盛り上がり。オートナイトニッポンにはまる。なんてほぼ同じ経験をしてる。
(4)仙台の「ロックンロール・オリンピック86」を観に行ったという話がスゴいうやましかった。その時の出演者を羅列するだけでもクラクラする。タイムスリップして観に行きたい。
アクシテンツ
ローザルクセンブルグ
アップビート
遠藤ミチロウ(ソロ)
ストリート・スライダーズ
ARB
シーナ&ザ・ロケッツ
(5)最後のクライマックスが最高。実はボクもこのクライマックスと同じような体験をしたことがある。文化祭で全校生徒の前でバンドの演奏をした時のこと。あのような大人数の前で演奏したのも、あんなに盛り上がって高揚したのも、あの時以来ない。読んでいてその出来事がフラッシュバック。酸っぱい気持ちになった。
(6)クドカンとは同じ年だし、娘を持つ親というのも同じ、ギターを弾くのも同じ。しかしボクは脚本や小説は書かないし、演劇や映画で演技もしないし、映画監督もしないし、バンドでライブももうやってない。やっぱり近いようで、ぜんぜん遠いや。