QSKVブログ

ピンチの後にチャンスあり!しかし人生ピンチの連続。まぁなるようになるかね。

名作かと聞かれたらYESと答えざるを得ない


ゼア・ウィル・ビー・ブラッドポール・トーマス・アンダーソン監督(2008)

(1)ポール・トーマス・アンダーソンは、ホラー映画を作るつもりで本作を撮った、とコメントしています。

(2)母子家庭で育ったワタシにはよくわかりませんが、父親という存在はある意味ホラー映画のゾンビのように恐怖感を与えるものなのかもしれません。

(3)でもこの映画を観て思ったことは、お金目当てで擦り寄ってくる人と家族として信頼できる人というのは違うんだよ、と手を変え、品を変え伝えている気もします。

(4)お金目当てで擦り寄ってくる人には、ホラー映画のゾンビさながら冷血な態度でブチ殺し、血みどろにしちゃうけど、一旦家族と思って接した人には血が繋がってなくても家族のように接している。だから家族と偽ってお金目当ての人はさらに冷酷な目に。。。

(5)要するに両方とも血がキーワードなので、この題名なのだろうと思う。

(6)本作と「ノー・カントリー」は同じプロデューサーのようだけど、両作の共通キーワードはアルカイダアメリカと見た。

(7)「ノー・カントリー」では大金持って逃げる奴がアメリカ、それを追う無差別殺人者がアルカイダ。そしてそれを嘆く警官がアメリカ以外の国の人々。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は宗教を理由に援助を求めるイーライがアメリカ人?もしくはお金ですべて解決しようとする無礼な石油会社がアメリカ人?、ダニエルはもちろん油田を持ってるアルカイダ、ダニエルの子供は近いとすればイラク?無礼な態度でアルカイダから石油の利権を吸い取ろうとしているアメリカに対して、アルカイダは異常な態度をとる。。。

(8)ということはアルカイダを主人公の隠喩として作られた映画なのかも?それなら冒頭のPTAのコメントも頷けるね。

(9)もう一回観たいかと聞かれたら、NOという答えだけど、名作かと聞かれたらYESと答えざるを得ない、かなりの強度を持った作品。

(10)いろいろ考えさせられるけど、親と子という対立軸とアメリカとアルカイダという対立軸の二つを描くことにより現代のアメリカと人生を切り取って見せるという狙いだったような気がしてきました。。。

(蛇足)公式サイトでは文化人(!)が試写会で観た衝撃を言語化しようとしてすべて失敗している!みんな言いたかったことは「スゴかった」のみ。一番ユーモアを交えて本作を言語化しているのはミルクマン斉藤だけ。「死んでも感情移入できぬ怪物の魂を、これほど理解したくなる映画があっただろうか。レディオ・ヘッド・ジョニーの音楽は映画史の殿堂入り確実。ココロと同時に身体を動揺させる!」