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ピンチの後にチャンスあり!しかし人生ピンチの連続。まぁなるようになるかね。

ロスト・ハイウェイ+マルホランド・ドライブ/デイヴィッド・リンチ監督

マルホランド・ドライブ [DVD]

マルホランド・ドライブ [DVD]

  • 発売日: 2002/08/21
  • メディア: DVD
(1)「ロスト・ハイウェイ」は前編が現実で、後半は主人公の妄想。
(2)「マルホランド・ドライブ」はその逆。
(3)両方とも妄想方が数百倍いかれてて、面白い。現実は痛い。
(4)だけどどこまでが妄想で、どこまでが現実か本当はわからない。
(5)リンチの言いたいことは簡単に言うとそういうこと。
(6)両作品とも解釈が難しいが、混乱するのは「マルホランド・ドライブ
(7)ナオミ・ワッツの妄想と現実の違いっぷりはスゴイ。あれは別キャラだな。
(8)でも「ロスト・ハイウェイ」の主人公は別の若いオトコに変わっちゃってるから、どっちもスゴイな。
(9)この両作品がリンチの最高傑作であることに異論はない。
(10)蛇足ですが「ブルー・ベルベット」はすべて妄想で、「ワイルド・アット・ハート」はすべて現実。
(11)リンチ・ワールドを太宰治が何十年も前に文章で表現していましたので、最後に引用します。

「まぁ、綺麗、お前、そのまま王子様のところへでもお嫁に行けるよ。」

「あら、お母さん、それは夢よ。」

この二人の会話に於いて、一体どちらが夢想家で、どちらが現実家なのであろうか。

母は、言葉の上ではまるで夢想家のようなあんばいだし、娘はその夢想を破るような所謂現実家みたいなことを言っている。

しかし、母は実際のところは、その夢の可能性をみじんにも信じていないからこそ、そのような夢想をやすやすと言えるのであって、かえってそれをあわてて否定する娘のほうが、もしや、という期待を持って、そうしてあわてて否定しているもののように思われる。

世の現実家、夢想家の区別も、このように錯雑しているものの如くに、此頃、私には思われてならぬ。

私は、この世に生きている。しかし、それは、私のほんの一部分でしか無いのだ。同様に、君も、またあのひとも、その大部分を、他のひとには全然わからぬところで生きているに違いないのだ。

太宰治「フォスフォレッセンス」の冒頭より)